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現代俳句選抄

ご恵贈頂いた書誌から、五島高資が感銘した俳句などを紹介しています。© 2021 Takatoshi Goto

郭公声横たふや水の上

ほととぎすこゑよこたふやみづのうへ

 

 元禄6年(1693)4月の作。水辺におけるホトトギスの題詠による句。蘇軾『前赤壁賦』の「白露横江、水光接天」という詩句が念頭にあったことや、同じく芭蕉詠の「一声の江に横ふやほとゝぎす」よりも水間沾徳や山口素堂らが掲句を良しとしたことなどが、四月廿九日付「宮崎荊口宛書簡」に記されている。

 江に横たわる白露(霧あるいは靄)よりも、ホトトギスの声が横切る方がダイナミックな感興に優れ、また、「江」よりも「水の上」とした方がスケールの大きな場景となることが、掲句に落ち着いた要因であろう。もっとも、中国における「江」には、例えば、長江のように大河の趣があり、私個人としては空間的な効果の優劣はつけがたいのではないかと思う。

 ただ、掲句では、眼には見えないホトトギスの声が水上を横切ると捉えることで、それがアクセントとなって、むしろ初夏の茫洋にして長閑な水郷の雰囲気をよく捉えているのは確かである。

 

季語 : 郭公(夏) 出典 : 『藤の實』

 

A little cuckoo
laying its voice over
the water

 

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水辺の夕景