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現代俳句選抄

ご恵贈頂いた書誌から、五島高資が感銘した俳句などを紹介しています。© 2021 Takatoshi Goto

2017-07-01から1ヶ月間の記事一覧

三宅やよい『鷹女への旅』創風社出版

高岡修『水の蝶』ジャプラン

ホッチキスで日記にとめる五月闇 高岡修 空蟬の背にも銀河の流れこむ 同 海の底でマッチを擦れば点る胸 同

山本洋子『ベスト100山本洋子』ふらんす堂

落椿のせたる水の走ること 山本洋子 鷹の上を隼流れ初景色 同 その先に一軒のなき蛍かな 同

「小熊座」平成29年7月号

逆波は根の国生れ蘆の角 高野ムツオ テーブルの無数の傷へ春の雷 同 古墳から揺れがはじまる春の地震 渡辺誠一郎 花粉とぶきれいな色の水薬 栗林浩 魚叱る男ありけり夏の月 大場鬼怒多

「対岸」平成29年7月号

かたつむり音立てて降る夜の雨 今瀬剛一 泉湧く泉の芯をひた隠し 同 遠泳のこのまま星とならむかな 同 春の雲人も鳥居も足二本 今瀬一博 花が花いざなひ堤あふれだす 岡崎桂子

「鷹」2017年7月号

火の影を踏む白足袋や薪能 小川軽舟 体内を燃やす呼吸や夏来たる 同 砂利船の吃水深し五月雨 同 春眠のわたしは布のやうに広い 奥坂まや 汗しつつ街のいづこにゆくも壁 髙柳克弘

「晨」平成29年7月号 第200号

虫の夜の星夜に浮く地球かな 大峯あきら 日輪の燃ゆる音ある蕨かな 同 峰雲を背後に水素ステーション 浦川聡子 春の月ぬうつと藁の屋根の上 黛執 畑にゐる人にまつはる蝶々かな 山本洋子

「藍生」平成29年7月号

梅雨の雷などにもふつと励まされ 黒田杏子 卓袱台をたためばほたる二つ三つ 同 如月の望月をやや過ぎしころ 髙田正子 床の間に琴立てかけし朧かな 中岡毅雄