2015-06-01から1ヶ月間の記事一覧
春の水まだ息を止めておりにけり 曾根毅 桃の花までの逆立ち歩きかな 同 さくら狩り口の中まで暗くなり 同 初夏の海に身体を還しけり 同 爆心地アイスクリーム点点と 同 草いきれ鍵をなくした少年に 同 竹の秋地中に鏡眠りおり 同 時計屋に空蟬の留守つづき…
夏至の夜や輪廻断たんと漕ぐ鞦韆 有馬朗人 生きてきて粽を食べておりにけり 森下草城子 山清水ひかりとなりて苔に沁む 加藤耕子
ががんぼと兄弟なのだオレたちは 坪内稔典 めつむりてエレベーター待つ若葉寒 大牧広 引く波の紋を辿れば桜貝 西村和子
人形のもたれてゐたる金魚鉢 西原天気 六月や切手を舐めて雲を見て 同 つつがなく夕暮れが来て冷蔵庫 笠井亞子
近代俳句の詩学を俳句史を通して詳細に解析した好著と思いました。ここを踏まえてこそ現代俳句の更なる発展が期待されるのではないでしょうか。
肉片を返すがごとく畑打てり 島田牙城 神苑に思はぬ尿意柏散る 中村与謝男 白梅に蜂に寄りたる日和かな 天宮風牙 自転車が自転車を抜き日の永さ 佐藤文香 指全部はなれし苹果卓の上 男波弘志 雲が波うつて卒業前夜かな 中山奈々 野火を追い火の裏側へ来てし…
川と川出あひて濁る寒紅梅 澤好摩 こめかみに光集まるゆず湯かな 橋本七尾子 いきんでも羽根は出ぬなり潮干狩 山田耕司 つばくらめ雲のすき間に母の胸 今泉康弘
三人のくらしの中に蝶生まる 岡田耕治 時に点く電球のあり卒業式 同 花吹雪竜宮門を出てきたる 同 夏の星地下鉄に乗りつながらん 同 マシュマロの間に小さき春の闇 金子敦 ごきぶりを入れて視界といふがあり 杉山久子
それぞれの個室に戻る朧かな 金子敦 あつけなき卒業Tシャツにドクロ 中山奈々 春の酔ひ吾やや星の王子さま 中島葱男
