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現代俳句選抄

ご恵贈頂いた書誌から、五島高資が感銘した俳句などを紹介しています。© 2021 Takatoshi Goto

2014-07-01から1ヶ月間の記事一覧

高村典子・歌集『雲の輪郭』ながらみ書房

入院は知られたくなき枕辺に人待つやうな丸椅子があるまたひと夜ひとりの夕食オリーブのドレッシングは分離してゆく西空に男体山の澄む季節くもりなきまで窓ガラス拭く草叢を吹き行く風の見ゆる土手われはお尻で地球に触れる山法師手に紅き実を点らせて水平…

山中葛子・句集『かもめ』角川学芸出版

春愁滝になったり壺になったり 山中葛子日輪をすとんと抱きて青みどろ 同からっぽの舟すれ違う天の川 同なんばんぎせる一本道をゆけば海 同鷹の眼に金輪際の海があり 同

「紫」2014年7月号

花ふぶき影を集めて仏とす 山﨑十生さくらさくら出自は空の青雫 鈴木紀子先立ちて影の動けり半仙戯 若林波留美

第2次「未定」第97号

うなぞこに簪一本びんらんの靈なびかせて 高原耕治 變若る深手の 逐電靑?波 西口昌伸毛の國や淺閒あぎとに煙だして 丑丸敬史

「俳句四季」2014年8月号・東京四季出版

どうしても道へ出たがる花南瓜 青柳志解樹不治を病む一螢火に火傷して 齋藤愼爾世に隠れをれば白露大いなる 同ビルにビルが映り戦没者慰霊の日 池田澄子チャリンコふらふら漕いでゆらゆら天の川 冨士眞奈美天の川濁流に音なかりけり 宮坂静生雨足の激しさが…

俳句大学・俳句学部シラバス・平成26年度下半期(俳句大学月例句会)

☆ 初心者大歓迎です。 ☆ 俳句講座や句会のお知らせがありますので、ぜひ以下をご覧下さい。 ☆ ご参加をご希望の方は、当該講座あるいは句会の一週間前までに俳句大学 haikuuniversity@yahoo.co.jp 宛てに住所、氏名、生年月日を明記の上、お申し込み下さい。…

『季語別鷹俳句集』鷹俳句会

枯蓮の虚空とろとろ眠りけり 藤田湘子 踏切の蝶そのあとを耽読す 増山美島徂く春や踏まれて邪鬼のよろこびゐ 宮坂静生秋冷えの振子時計に顔うつる 辻桃子少年の少年殺す暮の春 小澤實長崎道鳥栖に分かるる暮春かな 小川軽舟 捕虫網一枝弾きてゆきにけり 髙柳…

「詩歌の森」日本詩歌文学館 館報 第71号

小川軽舟『藤田湘子の百句』ふらんす堂

愛されずして沖遠く泳ぐなり 藤田湘子たかむらに竹のさまよふ秋のくれ 同揚羽より速し吉野の女学生 同

奥坂まや『飯島晴子の百句』ふらんす堂

天網は冬の菫の匂かな 飯島晴子昼顔は誰も来ないでほしくて咲く 同気がつけば冥土に水を打つてゐし 同

「俳句原点」No.139

怒りの椿として真っ赤に落ちる 田中陽去年今年まだ生きている熱い舌 暉峻康瑞オリオン座に射られ顧みる去年今年 宮城由紀子

「麻」2014年6月号

もの積んでなほさびしさの梅雨の家 嶋田麻紀黒板に語源の紙麻楮咲く 松浦敬親おのが木の影を出てゆく春落葉 百瀬ひろし

「ぶるうまりん」28号

青猫をいくつ隠すや秋の空 並川洋春蘭のどこかに空の色あって 吹野仁子寒月へ半開きなり非常口 山田京子 風紋の襞目覚めおり実朝忌 松本光雄

「ひろそ火」2014年7月号

一山の風入れ替へて青嵐 木暮陶句郎人生も葉柳も揺れやすきもの 同子が駆けて新樹の森を耀かす 中野千秋A型の漢のはなし竹の秋 土屋美紀

「藍」平成26年7月号

飛石の危うき硬さ未草 花谷清ぜんまいを炊けば母郷の星空も 花谷和子ちるさくら恵みの風にさそわれて 延原美幸

「犀」No. 194

卯の花や水の嫌ひな電子機器 桑原三郎階段で転んじまった春の月 三池泉花冷の右手だれともつながない 金子弓湖

「今」第6号

夏草にうつらうつらの石祀る 瀧澤和治鹿の群水かげろふの彼方より 西野陽子立泳ぎ空は日暮れてゐたりけり 原桐子神殿に闇のぬかづく時鳥 保坂敏子

「火神」平成26年夏号

鞦韆や空歪むまで反抗期 今村潤子風を喚ぶ翼の音や秋の暮 永田満徳水鳥の風を抱きて飛び立てり 同

「小熊座」平成26年7月号

父母祖父母そのまた祖も蕗の下 高野ムツオ生まれては死ぬまで女蓬摘む 佐藤成之人軽く世は重くなる蕗の薹 渡辺誠一郎

「海程」2014年7月号

融けてゆくにこやかににこやかに斑雪 金子兜太天竺につづく青空散るさくら 塩野谷仁勾玉の内なる声や青胡桃 武田伸一俺は水もう桜には心くるくる 谷佳紀

「花鳥諷詠」平成26年7月号

桐一葉落ちて信号変りけり 稲畑廣太郎跳ねたがる仔馬に駿の兆しかな 今村征一雪解雫光るリズムの音となる 船場益良

「里」2014年7月号

薄みどりなる毛蟲の毛日に刺さる 島田牙城一枚の眼帯へだて梅満開 谷口智行トロ箱にぎつしり土や梅雨の月 上田信治髪に羽差したき清志郎忌かな 中山奈々まむし草見えない川を聴いている 月野ぽぽな飛びうつる距離に屋根あり薄暑光 堀下翔捕虫網消えて開きつ…

「藍生」平成26年7月号

花満ちてどこへもゆかず本読んで 黒田杏子ちちははの在りし那須野の初蛙 同冴返るゆとり無き身を湯にしづめ 三島広志花の枝離るる銀の雫かな 髙田正子音立てて流るる潮や若芽刈る 岩田由美

「雲の峰」平成26年7月号

蛍浮く奈良の時空の緒を引きて 朝妻力薬降る時余をもとほる宇陀郡 中川晴美城郭の中の母校や新樹光 原田千寿子

「鷹」2014年7月号・別冊

揚羽より速し吉野の女學生 藤田湘子芒より風離れてはひかるなり 倉橋羊村海よりも陸荒々し昼寝覚 宮坂静生さらしくぢら人類すでに黄昏れて 小澤實万有引力あり馬鈴薯にくぼみあり 奥坂まや空間を時間素通り夜の秋 加藤静夫わかりあへず同じ暖炉の火を見つめ …

「晨」平成26年7月号

すかんぽに大きくなりて入る日かな 大峯あきら木登りの足のみ見ゆる立夏かな 浦川聡子鷹鳩と化し少年の腕の中 黛執この先に崖くづれあり山桜 山本洋子

「現代俳句」平成26年7月号

牡丹を見ている人を見て飽きる 麻生明早瀬たりさらさらさらさらわれる 早瀬恵子人間を見ている原子炉春の闇 高野ムツオ