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現代俳句選抄

ご恵贈頂いた書誌から、五島高資が感銘した俳句などを紹介しています。© 2021 Takatoshi Goto

2021-05-01から1ヶ月間の記事一覧

金子敦・句集『シーグラス』ふらんす堂

流星や分数にある水平線 金子敦 露の世のスマートフォンの重さかな 同 裸木と聖樹の枝の触れ合へる 同

渡辺誠一郎・句集『赫赫』深夜叢書

枯れるもの枯れを尽くして命継ぐ 渡辺誠一郎 三月の海が薄目を開けるとき 同 打水やうしろの影を濡らしては 同 原子炉はキャベツのごとくそこにある 同

谷原恵理子・句集『冬の舟』俳句アトラス

星するり体を抜けるスキーの夜 谷原恵理子 再び会ふ夏蝶すでに傷つきて 同 鞍馬山降りひとの世にかき氷 同 眉にふれ淡海にふれ春の雪 同 椿落つ大地に伝ふ波の音 同 雪の鯉音なき水に生きてをり 同

芭蕉百句 100 haikus of Basho 完結 !!

何とか芭蕉百句の解説と英訳を終えました。これも陰に陽に支えて下さった皆様のお蔭と心よりお礼申し上げます。不備も多々あると思いますので、お気づきの点はご遠慮なくお申し付け下さい。推敲を重ねた上で、きちんとした形で出版できたらと考えています。…

旅に病で夢は枯野をかけ廻る

たびにやんでゆめはかれのをかけめぐる 元禄7年(1694)10月8日の作。『笈日記』には前書として「病中吟」とある。たしかに芭蕉が最後に詠んだものであり、辞世の句としてよく知られている。 天野桃隣の『陸奥鵆』には、同年5月、江戸を発つ際、芭蕉が「此度…

秋深き隣は何をする人ぞ

あきふかきとなりはなにをするひとぞ 元禄7年(1694)9月28日の作。大坂を訪れていた芭蕉は、翌29日に催される芝柏亭の句会に招かれていたため、前日に詠んだ掲句を予め送っていた。しかし、当日、芭蕉は体調不良のために欠席している。おそらく前日から何ら…

塩見恵介・句集『隣の駅が見える駅』朔出版

世を捨ても世に捨てられもせずさくら 塩見恵介 ゴールデンウィークをアンモナイトする 同 白バイの前輪薔薇を嗅いでいる 同 噴水の前で止まっている家族 同 楽しくはないがいそぎんちゃくゆれる 同 蒲公英を咲かせて天と地の和解 同 燕来る隣の駅が見える駅 …

此道や行人なしに秋の暮

このみちやゆくひとなしにあきのくれ 元禄7年(1694)9月の作か。同年9月23日付の「意專・土芳宛」書簡には、「秋暮」と前書きして「この道を行く人なしに秋の暮」とあり、これでは単なる蕭条とした秋の夕景の描写に留まる嫌いがある。 しかし、『笈日記』に…

蓮のかを目にかよはすや面の鼻

はすのかをめにかよはすやめんのはな 元禄7年(1694)6月の作。『うき世の北』には「丹野が舞台にあそびて」と前書がある。丹野とは、大津の能太夫・本間主馬の俳号である。掲句は、丹野邸に招かれて能を鑑賞した際に詠まれたものである。 能面は、その目か…