2014-09-01から1ヶ月間の記事一覧
石月正広著『月の子』は、近世における江戸山形屋吉兵衛開版『死霊解脱物語聞書』の実録と史実に基づいて書かれた特異な時代小説です。もっとも、そこに出て来る水死という異状死をモチーフにした伝承は、蛭子を流す『古事記』や入水自殺したとも伝えられる…
近道をすればたちまち草いきれ 木暮陶句郎 昼寝して熱海の波の藻屑かな 同 この花をさびたと呼べばもの悲し 柊吾子 苗籠の雫に濡れる重さかな 芹澤若葉
冷蔵庫闇にひらきて光抱く 小川軽舟 颱風去り雑兵のごと風残る 同 自販機が硬貨呑む音西日差す 奥坂まや 大泣きのあと爽やかに鼻かめる 柳克弘 指先に開く情報夏の風邪 加藤静夫
江戸川や千葉は東に日は西に 西原天気 ロボットが電池を背負ふ夕月夜 同 せせらぎがきらきら曼珠沙華になる 笠井亞子 姉はみなルーシーである大花野 同
破れたる芭蕉を更に破る雨 星野高士 水仙の一壺に海の匂ひあり 星野椿 紅葉散る風につつまれ立ちつくす 今井千鶴子 散華めく柿の落葉は焚かずおく 今村征一
魂の遅れて戻り昼寝覚 岡田耕治 ざりがにと話せるようになりにけり 同 真ん中に寝そべっている敗戦日 同 瓢箪の高さにありし悲鳴かな 同 太刀魚の己が光を昇りけり 同
桐咲けり離合集散繰り返す 後藤昌治 手に足に蝶絡みつく名も知れずに 小笠原靖和 くちなしに少し溺れて引き返す 谷口智子 荒神のまなざし捉ふ白紫陽花 永井江美子 水中花きのふのこととなりしこと 山本左門
人間になれぬロボット銀河系 鳴戸奈菜 へうたんと沖をながめて午後になる しなだしん ものを噛む淋しさ星の溢れをり 水野真由美
磐石に音を消したる時雨かな 天つ日を見上げては干す荒布かな 朝風の通り道なる蓮かな 合歓咲いて月と地球と引き合へる
秋の蝶さらはれてゆく戻り橋 長嶺千晶 底なしの夜となりたる新酒かな 大森理恵 水底の石を見つむる秋扇 涼野海音 阿蘇五岳秋の玻璃戸に収まらず 永田満徳
ハート型に紙を切り抜き星祭 金子敦 台布巾引きて頰杖ちちろ鳴く 中山奈々 小鳥来る前頭葉のいちまいに 中島葱男
ぼうふらの水より出でて空と海 榎本バソン了壱 朝顔を灯して下谷路地に入る 八木ブセオ忠栄 薔薇色の船で旅立つ月夜かな 蜷川有紀 夏の雲食らいて太るだいだらぼっち 笹公人
内陣の闇のしりぞくお風入れ 山尾玉藻 風のなき夕べ風鈴鳴り始む 杉浦典子 空に傷なき鬼百合の背丈かな 浜口高子 滴りの遙かなる音刻みけり 蘭定かず子
快晴の道迷ひしと汗涼し 稲畑汀子 水音に揺れて露草なりしかな 稲畑廣太郎 手伸ばせば触るるばかりに星涼し 今村征一
葉桜の道に指輪が落ちてゐる 大輪靖宏 優しさに形があれば桐の花 門田智子 渡御舟を従へ篝火耿々と 小杉伸一路
快晴の道迷ひしと汗涼し 稲畑汀子 水音に揺れて露草なりしかな 稲畑廣太郎 手伸ばせば触るるばかりに星涼し 今村征一
葉桜の道に指輪が落ちてゐる 大輪靖宏 優しさに形があれば桐の花 門田智子 渡御舟を従へ篝火耿々と 小杉伸一路
その先の空たつぷりと秋桜 島田牙城 つゆ草のつゆ嗅いで馬あるきだす 月野ぽぽな 噴水の昼を押しとどめてゐたり 仲寒蟬 ほうたるの素通る石でありにけり 男波弘志 風色を翅にうつして蜻蛉生る 樽本いさお
六月の星の夜空を風渡る 林桂 一郷に銀河一つや豆の飯 外山一機 木いちごを摘みつつ母を失へり 水野真由美
海知らぬ太陽落す 黄土の国 長城を 吹かれ越えして 秋の蝶 桂林 満月 黄なる裸灯の窓が 窓が
