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現代俳句選抄

ご恵贈頂いた書誌から、五島高資が感銘した俳句などを紹介しています。© 2021 Takatoshi Goto

林桂・句集『遠近紀行』ウエップ

自づから陽差しに集ひ花返る  林 桂
陽の中に出て行く径や野紺菊  同
蹲るやうに若松林なり  同
蓬生の闇を育てて日暮かな  同
朝顔に深々と射す宇宙かな  同
長崎の空の色なる海の色  同
金魚玉に虹色現れし夕日かな  同
寒昴未来に追ひつくことなくて  同
枯れてゆく明るさにゐる水の神  同
噴水の輝くところから崩る  同
潮風の届かぬ陸や夏椿  同
かなかなの風に落ちたる水の音  同
天上に散る花のある睡さかな  同
図書館の噴水雨に濡れてゐる  同
蟬の穴より月光の漏れ出づる  同  

林桂『遠近紀行』

高山れおな・句集『百題稽古』現代短歌社

千年の影引く影や姫小松  高山れおな
さわらびや何を握りて永き日を  同
玉苗のふるへたふとし水は空  同
地球より溢れ荒川雪の夜を  同
昭和百年源氏千年初鏡  同
我が狐火も霜夜は遊べ狐火と  同
息白き別れは星の匂ひかな  同
時の日の湖光りつつ眠る 同
挽歌降るべし雲雀ほど高きより 同
 

福本啓介・句集『保健室登校』文學の森

吃音のあとの静寂に小鳥来る  福本啓介

月朧抱きしめられてゐたりけり  同

昼月と共に過ごせり保健室  同

小春日の昨日に我を置いて来し  同

さくら咲き記憶喪失終はりけり  同 

 

「小熊座」2025年2月号

また回り出す年越の換気扇  高野ムツオ

無辺へと千手を垂らし菊枯れる  同

不立文字風に渦巻く落葉こそ  同

天の狼咆哮雪が降り出せり  同

冬の蝿昨日の朝日今日も浴び  同

終末に備え固まる黒海鼠  渡辺誠一郎

数え日や終わらぬ旅の旅衣  同

産声を忘れ宣戦布告かな  同

「対岸」2025年2月号

障子貼りゐていつの間に囲まれし  今瀬剛一

冬の星糸で繋いで贈らむか  同

瀧凍り始める寒さかと思ふ  同

ショール巻いて母が見えなくなりしかな  同

やがて会ふはずの枯野の二人なり  同

瀧深く隠して山の眠るなり  今瀬一博

鮟鱇の腹の白さよ雪催  同

目瞑れば吾も大柚冬至風呂

大木あまり・句集『山猫座』ふらんす堂

ペンギンの胸の広さや春隣  大木あまり

霜の花忘るるために歩きけり  同

鎌倉の水羊羹と無常観  同

マスクして逢ふや双子座流星群  同

立ち泳ぎするかに揚羽飛ぶことよ  同

入院も旅と思へば冬うらら  同

大屋達治・句集『大屋達治集』(俳人協会)

くらい水すきとほらせる花火かな  大屋達治
大年の街の音聞く橋のうへ  同
大山に脚をかけたる竈馬かな  同
海に出てしばらく浮かぶ春の川  同
泳ぎより立つとき腕を翼とす  同
日蓮が妙と叫びし初日かな  同
捨てし田を豊葦原へ還しけり  同
 

鈴木総史・句集『氷湖いま』ふらんす堂

薔薇咲くや抜歯のあとのあをぞらを  鈴木総史

とんばうや蝦夷にあをぞらあり余る  同

背広にも晩年のあり漱石忌  同

薬飲むみづのまばゆし風信子  同

実石榴や触れればくづれさうな家  同

藺草慶子・句集『雪日』ふらんす堂

山上の雲の厚さや田水張る  藺草慶子
水底のかくも明るく冴返る  同
水渡り来し一蝶や冬隣  同
片雲の遠く光りて夏きざす   同
光陰のなだれ落ちたるさくらかな  同