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現代俳句選抄

ご恵贈頂いた書誌から、五島高資が感銘した俳句などを紹介しています。© 2021 Takatoshi Goto

2020-01-01から1年間の記事一覧

柿本多映句集・高橋睦郎編『拾遺放光』深夜叢書

ピアノ鳴る家や西日の鬼瓦 柿本多映 満水の池を覆へり春の空 同 何喰はぬ顔の出てくる氷室かな 同 陽炎を跨いで入る非常口 同 八月の鯨のやうな精神科 同

黒田杏子・句集『木の椅子』(増補新装版)コールサック社

十二支の闇に逃げこむ走馬燈 黒田杏子 金柑を星のごと煮る霜夜かな 同 かもめ食堂空色の扉の冬籠 同 月の稲架古墳にありてなほ解かず 同 休診の父と来てをり崩れ簗 同 青桃に夕陽はとどく天主堂(カテドラル) 同 (五島列島 六句) はまゆふは戸毎にひらく濤…

「俳句新空間」No.13(2020 初冬 )実業公報社

坊城俊樹・句集『壱』朔出版

読初の夜は彗星を栞とし 坊城俊樹 狼の夢の中にも星流れ 同 蕉翁の蛙も亀も鳴いてをり 同 喧嘩して違ふ夕焼見て帰る 同

神野紗希・句集『すみれそよぐ』朔出版

はつなつの音符のような寝癖かな 神野紗希 きよしこの夜ヘルメット脱げば海 同 人生ゲーム抜けてさくらのすべり台 同

鴇田智哉・句集『エレメンツ』素粒社

滝壺の風のひろがりつづけたり 鴇田智哉 くさむらを出てゐる虹に苦みあり 同 コンセントから蛤になる雀 同

干野風来子 句集『風のささやき』MIYUKI文庫

秋天や丹の橋渡る雲巌寺 干野風来子 爽籟の北岳いまし蒼き山 同 霧蒼き黒髪山を拝ろがむる 同 雲ながる那須野が原の稲穂波 同 遠花火いつもあなたは笑ふだけ 同

松尾紘子 句集『追想』MIYUKI文庫

白百合の咲き継ぐ不確かな日々を 松尾紘子 山の端をあそび疲れて小望月 同 眠り浅き夜はアンタレスの誘惑 同 モンローの唇永久に夜の秋 同 ゆく秋や伊奈良の沼の舫ひ船 同

加藤哲也・俳論『概論 中原道夫』実業公報社

加藤哲也・俳論『俳句の地底』実業公報社

佐藤郁良・句集『しなてるや』ふらんす堂

春を待つ前売券が二枚あり 佐藤郁良 静電気帯びる会話や室の花 同 鏡よりはやく走れり冬の川 同

茨木和生・句集『潤』邑書林

水槽に鯛が足されて春近し 茨木和生 妻と来しことのある野に青き踏む 同

川越歌澄・句集『キリンは森へ』 俳句アトラス

立春やキリンのこぼす草光る 川越歌澄 百合の花咲く幾夜を寝そびれて 同 竹の春いま来た道の消えてをり 同 錬金術師またきのこ殖やしてしまふ 同 シリウスが燃える限りは待つてゐる 同

寺澤始・句集『夜汽車』ふらんす堂

あれは火星これは金星あぢさゐ空間 寺澤始 風鈴の一つ鳴りたる帰郷かな 同 秋灯や夜汽車の模型走らせる 同

茨木和生・句集『恵』ふらんす堂

磯遊びぞろぞろ婆戻り来る 茨木和生 泉あり古墳をひとつ抜けたれば 同 ひぐらしや杉はますます真直ぐにて 同

渡辺誠一郎 著『俳句旅枕 みちの奥へ』コールサック社

地域に根ざした俳人だからこそ、俳句を通して、時空を超える「みちのく」の風土における聖性が発揮されています。

木暮陶句郎・句集『陶冶』朔出版

人だけにある幸不幸草萌ゆる 木暮陶句郎 風鈴に風が砕けてをりにけり 同 榾火燃ゆオンザロックの氷にも 同

三島広志・句集『天職』角川書店

星までの距離思ひけり刈田道 三島広志 いつからを夕空といふ桐の花 同 寒星や魂の着る人の肌 同

池田澄子・句集『此処』朔出版

次の世は雑木山にて芽吹きたし 池田澄子 蓬萊やプラスチックは腐らない 同 この道に人影を見ぬ淑気かな 同

牧」2020年 夏号 第二号

開闢を知つてゐさうな大海鼠 仲寒蟬 流し雛目に見えぬものおそろしく 同 木も牛も影濃くなりぬ夏の牧 同

今瀬剛一著『芭蕉体験 去来抄をよむ』(角川書店)

今瀬剛一先生より、ご著書『芭蕉体験 去来抄をよむ』(角川書店)を賜りました。まず心よりご上梓のお祝いとご恵贈の御礼を申し上げます。「芭蕉を現代に生かす」というお考えに大賛成です。実作者としての体験を通してこその説得力が感じられます。多くの方…

眞矢ひろみ句集『箱庭の夜』ふらんす堂

木下闇まず鎖骨から出でにけり 眞矢ひろみ 日を集め日に遠くあり石蕗の花 同 太古より石楠花揺らす虚なるもの 同 折鶴を潰せば秋の夕焼けかな 同 金星にふれて末枯はじまりぬ 同