2020-01-01から1年間の記事一覧
ピアノ鳴る家や西日の鬼瓦 柿本多映 満水の池を覆へり春の空 同 何喰はぬ顔の出てくる氷室かな 同 陽炎を跨いで入る非常口 同 八月の鯨のやうな精神科 同
十二支の闇に逃げこむ走馬燈 黒田杏子 金柑を星のごと煮る霜夜かな 同 かもめ食堂空色の扉の冬籠 同 月の稲架古墳にありてなほ解かず 同 休診の父と来てをり崩れ簗 同 青桃に夕陽はとどく天主堂(カテドラル) 同 (五島列島 六句) はまゆふは戸毎にひらく濤…
読初の夜は彗星を栞とし 坊城俊樹 狼の夢の中にも星流れ 同 蕉翁の蛙も亀も鳴いてをり 同 喧嘩して違ふ夕焼見て帰る 同
はつなつの音符のような寝癖かな 神野紗希 きよしこの夜ヘルメット脱げば海 同 人生ゲーム抜けてさくらのすべり台 同
滝壺の風のひろがりつづけたり 鴇田智哉 くさむらを出てゐる虹に苦みあり 同 コンセントから蛤になる雀 同
秋天や丹の橋渡る雲巌寺 干野風来子 爽籟の北岳いまし蒼き山 同 霧蒼き黒髪山を拝ろがむる 同 雲ながる那須野が原の稲穂波 同 遠花火いつもあなたは笑ふだけ 同
白百合の咲き継ぐ不確かな日々を 松尾紘子 山の端をあそび疲れて小望月 同 眠り浅き夜はアンタレスの誘惑 同 モンローの唇永久に夜の秋 同 ゆく秋や伊奈良の沼の舫ひ船 同
春を待つ前売券が二枚あり 佐藤郁良 静電気帯びる会話や室の花 同 鏡よりはやく走れり冬の川 同
水槽に鯛が足されて春近し 茨木和生 妻と来しことのある野に青き踏む 同
立春やキリンのこぼす草光る 川越歌澄 百合の花咲く幾夜を寝そびれて 同 竹の春いま来た道の消えてをり 同 錬金術師またきのこ殖やしてしまふ 同 シリウスが燃える限りは待つてゐる 同
あれは火星これは金星あぢさゐ空間 寺澤始 風鈴の一つ鳴りたる帰郷かな 同 秋灯や夜汽車の模型走らせる 同
磯遊びぞろぞろ婆戻り来る 茨木和生 泉あり古墳をひとつ抜けたれば 同 ひぐらしや杉はますます真直ぐにて 同
地域に根ざした俳人だからこそ、俳句を通して、時空を超える「みちのく」の風土における聖性が発揮されています。
人だけにある幸不幸草萌ゆる 木暮陶句郎 風鈴に風が砕けてをりにけり 同 榾火燃ゆオンザロックの氷にも 同
星までの距離思ひけり刈田道 三島広志 いつからを夕空といふ桐の花 同 寒星や魂の着る人の肌 同
次の世は雑木山にて芽吹きたし 池田澄子 蓬萊やプラスチックは腐らない 同 この道に人影を見ぬ淑気かな 同
開闢を知つてゐさうな大海鼠 仲寒蟬 流し雛目に見えぬものおそろしく 同 木も牛も影濃くなりぬ夏の牧 同
今瀬剛一先生より、ご著書『芭蕉体験 去来抄をよむ』(角川書店)を賜りました。まず心よりご上梓のお祝いとご恵贈の御礼を申し上げます。「芭蕉を現代に生かす」というお考えに大賛成です。実作者としての体験を通してこその説得力が感じられます。多くの方…
木下闇まず鎖骨から出でにけり 眞矢ひろみ 日を集め日に遠くあり石蕗の花 同 太古より石楠花揺らす虚なるもの 同 折鶴を潰せば秋の夕焼けかな 同 金星にふれて末枯はじまりぬ 同
