2014-11-01から1ヶ月間の記事一覧
亡き人へ両手をつなぐ踊の輪 小原啄葉 地震くればおのれをつかむ蓮根堀 同 海へ出たがる初凧の糸ゆるす 同 無に徹し生くるも難し返り花 同
兜虫つかみどころのありにけり 成井侃 反転のあとの攻勢稲雀 同 行末は知らず雛を流しけり 同 素戔嗚尊大足稲の花 同 漂へるものにたましひ月の海 同
原石鼎の実相に迫る好著。数多くある石鼎の名句でも「頂上や殊に野菊の吹かれ居り」には特別な思いがあります。実は、二十年前に東吉野村を訪れた私は、まさに石鼎が掲句を詠んだ「鳥見霊畤伝承地」の山頂でたまたま野菊を発見しました。神武天皇が即位後は…
木霊せり微熱を持てる夏木立 辻村麻乃 晩夏光プラスチックの中の泡 同 稲穂さはさはさは海の音となり 同 人参を地中に持ちて夕日落つ 同 早起きの竜天に上りシーツ干す 同
灰皿に煙草がけむる夕桜 和田耕三郎 夏の夜の更けてガソリン匂ひけり 同 月裏のやうにさびしき花樒 坂本登 かけ違ふ釦のごとく落椿 しなだしん
去るひとへ鳴く新涼の山鴉 花谷清 下りきし山ふり返る芒原 同 まっさらな枕で眠る十三夜 花谷和子
しんがりを行く先生の夏帽子 今村潤子 天井画竜は火を吹く梅雨激し 同 もくれんのひらくともなくひらきけり 永田満徳 大波に攫はるるごと昼寝かな 同
滲みつつ滴るまでのひかりかな 澤好摩 藤垂れて天上の風地に還す 梶原ひな子 蛍火と音なき闇の双手かな 横山康夫 裏口を濡らされてゐて心太 山田耕司 腹立てて陽だまりの陽を掴んでいる 橋本七尾子
月蝕や伊予の青石露に濡れ 黒田杏子 水鳥といへばかがやく都鳥 同 雨上がりゆらぎそめたる五山の火 清水憲一 沖遠く泳ぐ人見ゆ葛の花 岩田由美 雨音を重ねて月を祀りけり 高田正子 戦後即戦前街になつあかね 三島広志 秋蝶の複眼まつすぐに堕ちる 五十嵐秀彦
薄の穂団子の臍繰り月の塔 榎本バソン了壱 大夕焼右翼少年昏睡す 八木ブセオ忠栄 竹とんぼ胸の谷間に降りにけり サエキ子覗けんぞう おそるおそる扉を開く秋の淵 蜷川有紀
人生にある花野径獣みち 木暮陶句郎 夢二忌の大きな露として山湖 同 星しづく夜毎宿して蔦紅葉 同 武甲山渡る羽衣秋の雲 同
幽界の人になりきり踊りけり 大輪靖宏 蜩に知足の暮しありにけり 田中南嶽 流灯を押せば水面に灯を零す 大和田博道
戦時下の日記は一行からすうり 鍵和田秞子 梟のあれから帰らず月の森 浅井愼平 国つ神ふところにして山眠る 豊田都峰 トルソーの向き変りをり桐一葉 菅原鬨也 海嶺に次の人類眠る春 橋本直 降りそうな明日へ茸たち通信 田島健一
暗闇の大王烏賊と安眠す 金子兜太 長崎に夜も崩れぬ夏の雲 宇多喜代子 大根のむすめざかりを洗ひけり 宮坂静生 一もよし万もまたよし夏の星 高野ムツオ 肺に息留めよ雪が地に届く 近恵 人日のあたまの下に在るからだ 安西篤 星雲のほどかれてゆく若葉雨 石母…
月に眠り紫苑に朝の眠り託す 金子兜太 河童忌の新月糸で吊すなり 安西篤 山際の星鎮まれる茅の輪かな 塩野谷仁 花梔子伝えたきこと改行す 武田伸一 凌霄花あんなところに警策が 森田緑郎 打水のここより龍の背中かな 五島高資(金子兜太抄出・海程秀句)
永き日の路地がいつしか貝塚に 岩淵喜代子 晩春の動物園に鴉啼く 同 路地裏の地母神となる瓢かな 岡本惠子 欠伸して叱られてゐる残暑かな 新木孝介
父何やら言うて秋の蚊払ひけり 山尾玉藻 へうたんのくびれに届く風呂明り 同 炎昼の力石てふ石三つ 杉浦典子 浅間嶺の煙あはあは走り蕎麦 浜口高子
てつぺんに黒蜥蜴ゐる渾天儀 堺谷真人 椅子にぎやか梅田の海のてんとむし 湖内成一 角砂糖少し歪みて梅雨明ける 鈴木達文 八月の海底よりの夕焼かな 大盛和美
パソコンにおいしそうなる土星の環 谷口慎也 古着店「西海岸」に日が当たる 同 軍艦はまだ動かない月夜茸 同 母親が迷うほどいる曼珠沙華 同
引く潮と染む潮とあり秋の暮 島田牙城 虫籠の中まで晴れてきてゐたる 堀下翔 秋風に橋がいつぽん増えてをり 仲寒蟬 夜顔や勝手口から叔母の出て 樽本いさお 秋涼し五分遅れてバス来たる 天宮風牙 飛行機や朝顔ごとのうすい空 佐藤文香
新宿は天仰ぐ街天高し 高野ムツオ 鳥渡るいなりずしからなくなりて 渡辺誠一郎 鉄銹びて線路の好きな秋の蝶 増田陽一 ほおずきの熟れて小さき母の国 佐藤成之
誰れ彼の名を呼ぶ酸欠の銀河 山十生 究極の自己満足や天の川 同 滴りの本流となる夜のジャズ 鈴木紀子
葭切りの声が天守にまで届く 寺澤一雄 夏草やジーンズ疲れなる太もも 越智友亮 冷し瓜休んでゐるとわかるやうに 佐藤文香 中心に蜩のゐる林かな 東直子 苔となるたましひもあり羊歯の国 村井康司
わがために炊く風狂のぬかご飯 嶋田麻紀 鶺鴒や筑波に祀る二柱 同 日の丸の円の充血敗戦日 松浦敬親 羽化の蝉この世の色に変りけり 増山登
