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現代俳句選抄

ご恵贈頂いた書誌から、五島高資が感銘した俳句などを紹介しています。© 2021 Takatoshi Goto

2017-01-01から1年間の記事一覧

干野風来子『シェエラザード』(丘の上工房ムジカ)

凩に寝覚めて時を仕舞ひけり 干野風来子凍星の息止めてゐて生きてをり 同花杏子あしたの空をつくりけり 同 をがたまの咲く人麻呂のゆくへかな 同春星を求めて耳をすましけり 同

三宅やよい『鷹女への旅』創風社出版

高岡修『水の蝶』ジャプラン

ホッチキスで日記にとめる五月闇 高岡修 空蟬の背にも銀河の流れこむ 同 海の底でマッチを擦れば点る胸 同

山本洋子『ベスト100山本洋子』ふらんす堂

落椿のせたる水の走ること 山本洋子 鷹の上を隼流れ初景色 同 その先に一軒のなき蛍かな 同

「小熊座」平成29年7月号

逆波は根の国生れ蘆の角 高野ムツオ テーブルの無数の傷へ春の雷 同 古墳から揺れがはじまる春の地震 渡辺誠一郎 花粉とぶきれいな色の水薬 栗林浩 魚叱る男ありけり夏の月 大場鬼怒多

「対岸」平成29年7月号

かたつむり音立てて降る夜の雨 今瀬剛一 泉湧く泉の芯をひた隠し 同 遠泳のこのまま星とならむかな 同 春の雲人も鳥居も足二本 今瀬一博 花が花いざなひ堤あふれだす 岡崎桂子

「鷹」2017年7月号

火の影を踏む白足袋や薪能 小川軽舟 体内を燃やす呼吸や夏来たる 同 砂利船の吃水深し五月雨 同 春眠のわたしは布のやうに広い 奥坂まや 汗しつつ街のいづこにゆくも壁 髙柳克弘

「晨」平成29年7月号 第200号

虫の夜の星夜に浮く地球かな 大峯あきら 日輪の燃ゆる音ある蕨かな 同 峰雲を背後に水素ステーション 浦川聡子 春の月ぬうつと藁の屋根の上 黛執 畑にゐる人にまつはる蝶々かな 山本洋子

「藍生」平成29年7月号

梅雨の雷などにもふつと励まされ 黒田杏子 卓袱台をたためばほたる二つ三つ 同 如月の望月をやや過ぎしころ 髙田正子 床の間に琴立てかけし朧かな 中岡毅雄

櫂未知子『カムイ』ふらんす堂

南風吹くカレーライスに海と陸 櫂未知子 無花果の火口を覗く夜なりけり 同 陽炎に投函したる手紙かな 同 水やれば咲くかもしれずかたつむり 同 太陽と父と見失ふ磯遊 同 一瞬にしてみな遺品雲の峰 同

金子敦『音符』ふらんす堂

花屋より水流れ来る巴里祭 金子敦 からつぽの鳥籠浮かぶ冬銀河 同 小鳥来る音楽室のがらんどう 同 狛犬の阿に月光の射しにけり 同 それぞれの個室に戻る朧かな 同 神の留守手帳に覚えなき数字 同

田島健一『ただならぬぽ』ふらんす堂

満月に眼のあり小学校の石 田島健一 兎から風もれている涅槃かな 同 生まれては死んでは開く障子かな 同 西日暮里から稲妻見えている健康 同 七夕や卵の知られざるつづき 同

中村安伸『虎の夜食』邑書林

睡るため翼の欲しき五月かな 中村安伸 星祭この世の草を超えてゆく 同 黒鳥は南無阿弥陀仏より黒い 同 漏電や蓮の上なるユーラシア 同 鰯雲どのビルも水ゆきわたり 同