2016-06-01から1ヶ月間の記事一覧
早寝早起なみなみと新茶の香 黒田杏子 来年のことはさておき新茶汲む 同 土の粒かかげながらに芽立ちかな 岩田由美 禁煙をして香り増す沈丁花 高橋亜紀彦 春浅し髭剃に貸す化粧水 髙田正子 追儺会の豆に影ある畳かな 三島広志 水温むきらりと風の色めきて 清…
菜の花の果てに海あり航路あり 木暮陶句郎 鳥交る空と森とをつなぎつつ 同 鳥の巣の穴は明るき闇である 同 バーテンに見せる春夜の猫目石 同 東北に地震のありし春の雪 茂木妃流 三従の道をめざして万愚節 佐藤志乃
木馬降りる足そろひけり夕桜 髙柳克弘 皆既日蝕ゼリーふるへてゐたりけり 同 夜も力抜かぬ鉄路よ去年今年 同 炎天やひよこ売る箱へなへなと 同 ぼーつとしてゐる女がブーツ履く間 同 太陽の照りつつ古ぶ手毬かな 同 バス発ちて寒き夜景に加われる 同 蚊遣火…
草餅や城下といへど漁師町 小川軽舟 吉事呼ぶごとくに蝌蚪の揺るるかな 奥坂まや 日の波や寄居虫一つ引き残す 髙柳克弘 刀打つ鎚ひびかせよ引鶴へ 竹岡一郎 逃げたくて逃げだせなくて葱坊主 加藤静夫
鏡ヶ池水の波紋にある秋愁 今村潤子 愚痴話西瓜の種の散らばりぬ 永田満徳 神鈴の紐の三つ編み雁渡し 三浦洋 海雲巻く少年の指ねぢれけり 寺澤始
共著者の栗林浩氏よりご恵贈頂きました。また、拙文(連衆「巻頭言」)の一部も引用して頂き心より御礼申し上げます。
山百合咲く弱気の虫よさようなら 金子兜太 地の黒き割れ目ついばみ春の鳥 安西篤 野火走る落日はまだ白きまま 塩野谷仁 青年は地より湧いたり山眠る 佃悦夫 裸木を濡らす大気の中にいる 堀之内長一 きさらぎや人は人殺めて次の世へ 瀬川泰之 フクロウの正眼…
