木馬降りる足そろひけり夕桜 髙柳克弘
皆既日蝕ゼリーふるへてゐたりけり 同
夜も力抜かぬ鉄路よ去年今年 同
炎天やひよこ売る箱へなへなと 同
ぼーつとしてゐる女がブーツ履く間 同
太陽の照りつつ古ぶ手毬かな 同
バス発ちて寒き夜景に加われる 同
蚊遣火や壁の如くに雨はげし 同
雲中の太陽つよしトマト捥ぐ 同
ビルの裏すぐに川ある聖夜かな 同
ぶらんこに置く身世界は棘だらけ 同
砂握りこぼして花火待ちにけり 同
大泣きのあと爽やかに鼻かめる 同
冬木立思考は馬の速度なす 同
息白く海の時間に囚わるる 同

