小説
かすてらを切るや薔薇の芽みな動く 長谷川櫂 吉野山 咲きみちて花におぼるる桜かな 同 花びらや今はしづかにものの上 同 滅びゆく宋を逃れて昼寝かな 同 PET検査 さみだれや人体青く発光す 同 振り返りみれば巨大な蟻地獄 同 さまざまの月みてきしがけふの月…
共著者の栗林浩氏よりご恵贈頂きました。また、拙文(連衆「巻頭言」)の一部も引用して頂き心より御礼申し上げます。
限りなくひとりになりし竜の玉 岡田耕治 高野山に帰る人ある寒気かな 同 白梅に来て耳鳴を取りもどす 同 コンピュータ開くと草の青みけり 同 閉校の近づいている桜かな 同 「ギャラリー」および「俳句鑑賞三六五」では、拙句をお取り上げ頂き心よりお礼申し…
流星海に呑まれてしまひけり 西川青女 春の潮地球を溢れ出でにけり 同 潮いたみ激しき佐渡の椿の実 同 初茜東支那海染めゆきぬ 同 分け入つて隼人の國の竹を伐る 同
わが航海暗室の水を滑るかな 榎本バソン了壱 竹売りの竹に絡まる天の川 同 月と雲とまた上になり下になり 同 金福寺月はおぼろに東山 同
猫柳にはほほけんとする心 稲畑汀子 霧去来山にも人の心にも 木暮陶句郎 灯り消し火を消し木枯を眠る 坊城俊樹 実柘榴の一粒ごとに戦後あり 今村征一
石月正広著『月の子』は、近世における江戸山形屋吉兵衛開版『死霊解脱物語聞書』の実録と史実に基づいて書かれた特異な時代小説です。もっとも、そこに出て来る水死という異状死をモチーフにした伝承は、蛭子を流す『古事記』や入水自殺したとも伝えられる…
