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芭蕉百句 100 haikus of Basho

芭蕉百句の評釈と英訳 100 haikus of Basho selected and translated into English by Takatoshi Goto  © 2021 Takatoshi Goto

猪もともに吹かるゝ野分かな

ゐのししもともにふかるるのわきかな

 

 元禄3年(1690)8月4日付、『千那宛書簡』に掲句が初見される。ちょうど芭蕉が幻住庵に隠棲していた頃に当たる。幻住庵のある国分山には猪や兎が出ると里人から聞かされていたことが『幻住庵記』に記されているが、芭蕉がそれらを見たかどうかは定かでない。しかし、幻住庵の近くに猪が生息していたことは間違いない。

 ちょうど野分の風が吹き荒れると、山中の粗末な庵に一人住まいの芭蕉にとっては心細いことであったろう。それは近くの塒で過ごす猪にとっても尋常なことではない。外の様子が気になって、庵を出た際に、猪と遭遇したのかもしれない。いずれにしても、野分の強風にさらされているもの同士に変わりはない。猪と一緒に野分に吹かれることによって、自然と一体化したような感覚を覚えたのかもしれない。「猪」が「造化」の一部を象徴するなら、芭蕉もそれに随い、さらに「野分」という大いなる「造化」に順うという「造化随順」の詩境を覗うこともできる。

 

季語 : 野分(秋) 出典 : 『江鮭子』(『千那宛書簡』『卯辰集』『芳里帒』)

 

A wild boar
and I are exposed to strong winds
by the autumn storm

 

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