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芭蕉百句 100 haikus of Basho

芭蕉百句の評釈と英訳 100 haikus of Basho selected and translated into English by Takatoshi Goto  © 2021 Takatoshi Goto

五月雨は滝降うづむみかさ哉

さみだれはたきふりうづむみかさかな

 

 元禄2年(1689)4月29日の作か。芭蕉は、須賀川を発つ日は快晴であり、近くの玉村龍崎にある乙字ヶ滝(古くは石河の滝とも)に立ち寄ったと『曾良随行日記』に記されている。那須連峰に源を発す阿武隈川は龍崎あたりで滝となる。その手前で川筋が大きく湾曲して「乙」の形をなすことから乙字ヶ滝と名付けられたという。滝の落差は数メートルほどだが、幅は280mほどまで広がっており壮観である。芭蕉が訪れた際は、五月雨による増水により、却って水かさが増して滝が埋められてしまったように見えたのであろう。

 ちなみに、河畔にある「滝見不動堂」の傍らには、芭蕉の句碑が建っており、「五月雨の滝降りうつむ水かさ哉」と刻まれている。乙字ヶ滝は、今では「小ナイアガラ」と称され「日本の滝百選」にも数えられる名勝となっている。

 余談であるが、『曾良書留』によれば、4月29日は、増水が激しかったため、乙字ヶ滝行きは中止となったことが記されており、『曾良随行日記』の記載と矛盾する。掲句が想像の句だとすれば『おくのほそ道』から漏れていることも首肯できるが、真偽の程は分からない。

 

季語 : 五月雨(夏) 出典 : 『荵摺』(『曾良書留』)

 

An early summer rain
heavy enough to sink the falls
into the watwer

 

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乙字ヶ滝(石河の滝)