さみだれをあつめてはやしもがみがは
元禄2年(1689)5月の作。最上川は山形県と福島県の境にあたる吾妻山付近より発して、山形県の中央を北上し、尾花沢市あたりで北西に向かって、酒田市で日本海に至る、日本三大急流の一つである。芭蕉は本合海から古口までの約10キロを舟に乗って下った。特に古口あたりで川幅が狭く急流をなしている。五月雨の時季でもあり、水量も増しており、ダイナミックな舟下りを体験したものと思われる。
山々に降った多くの雨水によって川の水位のみならず速さをも増していたのであろう。もちろん、「早し」とは川の速さを指しているのだが、それと同時に、五月雨の一滴一滴がせせらぎとなり、沢となり、やがて滝や小川となって、最上川に合流して急流をなすまでの時間の早さも包摂されているような気がする。「速し」ではなく「早し」と書いた所以かもしれない。いずれにしても最上川に迫る山々の急峻さが彷彿とされて、舟下りの躍動感がひしひしと伝わってくる。
季語 : 五月雨(夏) 出典 : 『おくのほそ道』
The rains of summer
their drops gathered and gainined
momentum of Mogami River

