めいげつやかどにさしくるしほがしら
元禄5年(1692)8月15日の作。江戸深川・芭蕉庵で月見を催した際の句。同年5月から、芭蕉は旧庵の近くに新築された芭蕉庵で過ごし、そこで仲秋の名月を眺めた。旧庵と同じく、新庵も隅田川に小名木川が合流する北の角地にあり江戸湾にも近い。ちょうど仲秋の頃は大潮で海面が高くなっており、川へ面した芭蕉庵の門へも波が打ち寄せるほどであったのだろう。しかも、水面に映る名月の光が帯のように波に揺られながら庵の門口まで迫ってくる。その光の帯は名月と芭蕉庵を結ぶ一本の道のようでもあり、あたかも、波を越えて月からの使者がやって来るような幻想的な光景が想像される。まさに「天人合一」を思わせる詩境である。
季語 : 名月(秋) 出典 : 『名月集』
The harvest moon —
crests of waves are just coming
closer to the gate

