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芭蕉百句 100 haikus of Basho

芭蕉百句の評釈と英訳 100 haikus of Basho selected and translated into English by Takatoshi Goto  © 2021 Takatoshi Goto

あかあかと日はつれなくも秋の風

あかあかとひはつれなくもあきのかぜ

 

 元禄2年(1689)7月17日、金沢での作。この日、芭蕉立花北枝の源意庵に招かれて掲句を詠んだという。ここから見えた夕日かもしれないが、おそらく、日本海の夕日が見えた旅路での着想のような気もする。いずれにしても、暦の上では秋ではあるが、それとは構わず、夕日は赫赫と夏の気色を示している。一方、折しも吹き渡る風は秋の爽やかさを肌に感じるという、季節の変わり目の微妙な感覚を捉えた句と言えよう。

 一説には、芭蕉が、掲句の「秋の風」を「秋の山」として、北枝に問うたところ、「山といふ字すはり過て、けしきの広からねば」と批判されて、「秋の風」に落ち着いたとされる。たしかに「秋の山」では、視覚的に偏りすぎる嫌いがあるが、「秋の風」であれば、触覚的な体感も出てきて句が重層的になる。しかも、海に沈む夕日にも敷衍され、水蒸気で散乱されにくい赤色光がよく届くため「あかあかと」という烈日の形容もしっくりする。

 ちなみに、北関東の夕日は、海ならぬ広大な平野の果てに沈むのだが、特に冬場で夕焼けを伴わないときは、くすんだ赤色の気球のようで、何だか頼りなく感じられるのは私だけであろうか。ある意味「つれない」という言葉が身に沁みるのである。

 

季語 : 秋の風(秋) 出典 : 『おくのほそ道』

 

With a deep red glow
indifferent sun is setting
in the autumnal win

 

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落暉