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現代俳句選抄

ご恵贈頂いた書誌から、五島高資が感銘した俳句などを紹介しています。© 2021 Takatoshi Goto

涼しさを我宿にしてねまる也

すずしさをわがやどにしてねまるなり

 

 元禄2年(1689)5月17日、出羽・尾花沢に着き、同月27日まで門人の鈴木清風邸に逗留する。清風は、紅花問屋を営み、江戸との往来もあり、芭蕉の門に入る。掲句の前文には、「尾花沢にて清風と云者を尋ぬ。かれは富るものなれども、志いやしからず。都にも折々かよひて、さすがに旅の情をも知たれば、日比(ひごろ)とヾめて、長途のいたはり、さまざまにもてなし侍る。」とある。当時も、大商人といえば、強欲で吝嗇家が少なくなかったのであろう。しかし、清風は遠路はるばる訪ねてきた芭蕉を厚くもてなしたのである。もちろん、芭蕉俳諧の師であることにもよると思うが、ただそれだけでなく、心底から優しい性格の持ち主だったのは間違いない。

 掲句からは、涼しく設えられた客間に迎えられた芭蕉が、まるで自分の家にいるかのように寛いで快適に過ごしている様子がよく分かる。そこには主客合一の心境を覗うことができ、それが一句の詩的昇華を扶翼している。また、「ねまる」という山形地方でよく使われる「くつろぐ」「寝そべる」「座る」といった方言を取り入れることによって、主人・清風やこの土地への挨拶となっている。もちろん、このことは、都会や地方といった差別などすでに超克している芭蕉俳諧精神の表れとして当然のことである。

 

季語 : 涼しさ(夏) 出典 : 『おくのほそ道』

 

At the guest room
I relax without the summer heat
just like my home

 

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夏座敷・益子町城内