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芭蕉百句 100 haikus of Basho

芭蕉百句の評釈と英訳(漸次更新中) 100 haikus of Basho selected and translated into English by Takatoshi Goto

草の戸も住替る代ぞひなの家

くさのともすみかはるよぞひなのいへ

 

 元禄2年(1689)3月27日、芭蕉は「みちのく」を目指して『奥の細道』の旅に出立する。その直前、江戸・深川の芭蕉庵を人に譲り、近くにある杉山杉風の別荘・採荼庵に移り、旅支度に勤しむことになる。その際、今まで侘び住まいで閑散とした草庵も、新しい住人のもとで華やかに飾られた雛を見て時の移ろいに感慨を深くしたのである。

 『奥の細道』の旅は、ちょうど西行の五百回忌にあたる年に、「みちのく」へ発つことになるが、全行程が約600里(2400キロメートル)、日数で約150日間と、これまでにない長い旅程である。掲句のあとに、「上野谷中の花の梢又いつかはと心ぼそし」と述べられており、当時としては高齢で、胆石症などの持病も抱えた芭蕉にとっては客死も覚悟の長い行脚であったことが分かる。しかし、それを押してでも「みちのく」へ出向かなくてはならなかったのは、文明が発展した江戸や京などで忘れかけられていた日本の伝統的精神文化がそこにしっかり残っており、実際にその地に自らの足を運んで古人の求めたるところを実感することが、新しい俳諧精神の確立にとって不可欠であると芭蕉が思い定めていたからであろう。一見、桃の節句を言祝ぐような掲句だが、「ぞ」という強調の助詞に後戻りできない時空に対する惜別の念も込められているような気がする。

 

季語 : ひな(春) 出典 : 『おくのほそ道』

 

A thatched hut
new residents turned it into
a house of dolls

 

Doll’s Festival is celebrated each year on March 3, which is Japanese teadisional occasion to pray for young girls’ growth and happiness.

 

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雛飾り