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芭蕉百句 100 haikus of Basho

芭蕉百句の評釈と英訳 100 haikus of Basho selected and translated into English by Takatoshi Goto  © 2021 Takatoshi Goto

あさがほに我は食くふおとこ哉

あさがほにわれはめしくふおとこかな

 

 天和2年(1682)の作。「和角蓼蛍句(角が蓼蛍の句に和す)」と前書きがあり、宝井其角の「草の戸に我は蓼くふ蛍哉」に対して唱和したものである。其角は、「蓼食う虫も好き好き」という諺を踏まえて、わび住まいながら、夜の街に出て、苦い酒も飲み歩く、まるで昼より夜を好む蛍のようだと詠んでいる。このような其角の奇抜さに対して、芭蕉はそれをたしなめるかのように、私は朝顔の咲く頃に朝食を摂っているよと、日常茶飯の大事を句に込めたのである。真の俳諧とは、奇矯な非日常性よりも何気ない日常性の中に見出すものだという、芭蕉の地に足を着けた詩精神を重んじる姿勢が覗われる。

 ところで、蓼はホタルハムシなどの甲虫の餌になるほか、香辛料や刺身のつまなどとして人に食されることもあるから、其角に同情する余地もあろう。もっとも、談林をかじった芭蕉が、高弟・其角の心底を分からないはずはなく、唱和によってむしろ戯れているようにも感じられる。ふと「遊びをせんとや生れけむ」という『梁塵秘抄』の一節が脳裡を過ぎる。とまれ、ここでは、其角の句あっての芭蕉の句なのである。

 

季語 : あさがほ(秋) 出典 : 『虚栗』(『吐綬雞』『泊船集』)

 

I am a man,
who has his breakfast
watching morning glories

 

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朝顔