くもをねにふじはすぎなりのしげりかな
延宝4年(1676)の夏、伊賀に帰郷した途次の作とされている。雲居に突き出した富士の頂上を杉の天辺に、下雲を根に見立てた句。富士山の孤高が際だってうまく表現されている。もちろん、頂上に杉は生えていないが、その裾野に広がる草木は繁茂しており、夏富士に大いなる生命力が捉えられている。
延宝2年(1674)に江戸に下向する直前には、北村季吟から『埋木』の奥書を伝授されており、延宝3年(1675)には、東下中の西山宗因の知遇を得て談林俳諧に傾倒し、俳号も「宗房」から「桃青」に改めている。「根」も「茂」も「杉」の縁語であるが、実感に根ざした自在な表現に、早くも貞門・檀林を超克する兆しを孕んでいる。
季語 : 茂(夏) 出典 : 『續連珠』
The peak of Mt.Fuji
sending out clouds as roots
growing like a cedar tree

