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現代俳句選抄

ご恵贈頂いた書誌から、五島高資が感銘した俳句などを紹介しています。© 2021 Takatoshi Goto

雲とへだつ友かや雁の生き別れ

くもとへだつともかやかりのいきわかれ

 

 寛文12年(1672)の作か。『芭蕉翁全傳』には「東武に赴く時友達の許へ留別」とあり、故郷の伊賀上野を離れて江戸へと向かう際、友人に贈った別れの句である。芭蕉は、十代後半、藤堂藩伊賀付士大将・藤堂新七郎良精の三男・主計良忠に仕えたが、良忠(俳号・蟬吟)が北村季吟の門人だったこともあり、貞門俳諧に勤しむことになる。ところが、寛文6年(1666)芭蕉が二十三歳の時、主君の良忠が二十五歳で病没するに及んで、俳諧師の道を志した。寛文3年(1663)に幕府から殉死禁止令が出ていたことも、本来、死すべき芭蕉士分を辞して東下する要因となったのではないかと思われる。

 伊賀を離れて雲の果てなる遠き江戸に向かう自分と伊賀に残る友との離別を、春、雲居の彼方に帰る雁に寓した一句であり、芭蕉の孤愁がよく伝わってくる。

 季語 : 雁の別れ(春) 出典 :『冬扇一路』(『芭蕉翁繪詞傳』『芭蕉翁正傳』)

 

Migrating of wild geese —

my friend and I are leaving each other

beyond the clouds

 

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雁の渡り